成熟社会の都市居住問題
成長社会から成熟社会へ移行しつつある現在、これまでの都市問題の主要な課題であった「人口過密」や「住宅の不足」、「住工混在」、「低質かつ画一的」といった、膨張する都市をどうコントロールするのかという問題はもはや克服されつつあります。むしろ少子高齢化や経済の低迷など、都市の質・量ともに減退していっているのが現状であり、「空き家の増加」、「建物の老朽化」、「福祉の質の低下」、「格差拡大」などが都市の新たな課題として持ち上がってきています。それらをどう持続可能な社会の中に位置づけるか、計画学理論からひも解くのが早田ゼミの主要テーマとなっています。
次世代型まちづくりの仕組みづくり
成熟社会に突入し、都市が縮小していくなか、時代に即した社会的・経済的な仕組みづくりが急務となっています。これまで居住環境の整備は主に各自治体の役目でした。しかし、行財政が慢性的に悪化するなか、自治体単体での問題解決は難しくなってきています。そこで、地域に存在する多様な主体の力をつなぎつつ問題解決にあたってゆく“地域恊働によるまちづくり”が現在有効な手段として研究されています。早田ゼミでは地域恊働のまちづくりを実践していくとともに、そのようなまちづくりを支える公共政策の研究も行っています。
新しいライフスタイルの提案
社会構造や産業構造の変化が地域社会や居住環境にも大きな影響を与えています。社会保障費の増大とそれに伴う行財政の悪化は私たちの暮らしを直撃し、生活の質を急激に低めてきているのです。そのような現状がある中で今まさに考えなくてはならないのは、私たちは本来どういう生活を望んでいるのかというライフスタイルのあり方についてではないでしょうか。20世紀中、私たちの生活の質を決めるのは主に国の仕事でした。しかし、その役割が限界にある今、私たち自身がそのあり方を問い直さなくてはならない局面にあると言えます。家族のかたち、仕事のかたち、自己実現のかたち。それら新しいライフスタイルのかたちを都市というフィールドの中から模索していきます。
アクションリサーチという方法論
アクションリサーチとは研究者自身が実際に行為(アクション)を起し、それを通じて環境と相互に関わってゆく。その相互作用のプロセス自体を研究対象とするものです。対象をただ一方的に調査するのではなく、対象と研究者がインタラクティブ(相互交流的)に関わりながらプロジェクトを進めていき、双方が変化する(学習する)過程自体を重用視します。つまり、状況の変革自体に研究の意味を見いだしている方法論だといえます。だからといって理論が軽視されるかというとそうではなく、理論があった上でのアクションが求められることは言うまでもありません。
計画学理論について
計画学は居住環境にまつわる総合的かつ統合的な実践体系ですが、独自の理論がないわけではありません。その理論とは計画のあり方(誰が、何を根拠に、どのような手続きを経て等)について学術的な検討と理論構築を行うことです。住宅や公共インフラなど社会資本整備や居住環境に関わる計画をその主な対象とし、計画確定行為における合理性、現実の計画検討、計画に関する制度や指針の検討に対して理論的枠組みを提供しています。早田ゼミの学問領域は計画学になりますが、ゼミナールでこの計画学理論をゴリゴリ勉強するということはありません。現場で動く中で自然と身につけていくというのが主な学び方になります。大学院を考えている人は基本理論について書物・文献など押さえておくと良いでしょう。
>>関連:計画学とは